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「地道さ」とは何か

現代社会に急増しているらしい性格類型に自己愛パーソナリティーというものがあります。現代に生きる私たちには多かれ少なかれ、その性格の傾向が見られます。その性格の人々には「地道さの感覚」が欠けていると言われています。これはどういうことなのか少し考えてみたいと思います。

自己愛パーソナリティーの人の特徴は、「何でもできる万能の自分」と「何もできない無能な自分」という極端な自己イメージしかなく、等身大の自己イメージが持ちにくいところがあります。たとえば実際は70点だとしても、100点か0点としか感じられないため、自分の現在位置を正確に把握することが難しいのです。また、万能感(無能感)ゆえに、一つの役割の中に自分を位置づけることも苦手です。物事に継続的に取り組むためには、まず自分のありのままの位置を知って、そこからスタートすることが大切です。

また、自己愛パーソナリティーの人は、物事を成し遂げるのに裏技のような即効性のある「特別なやり方」があると信じ、時間のかかる「普通のやり方」を軽視してしまうことがあります。スポーツやドラマに大逆転・どんでん返しというものがありますが、自分にはそれができるという根拠のない自信を持っていることがあります。努力なしで最大の成果を求めてしまうこともあります。極端な場合は「ずるいやり方」に手を出してしまうこともあります。いずれそれがバレて、結局ゼロからやり直さなければならない時もあります。

そして、自己愛パーソナリティーの人は、他人が自分をどう評価しているかをいつも気にしています。自分の業績を過度に強調し、他人にどうアピールするかに多くのエネルギーを費やします。他人から賞賛されると自分が特別であると感じて満足し、非難されたと感じると屈辱感を感じて激怒したりします。外から見える結果の部分だけを意識しているので、見えない努力のプロセスにはあまり関心がないところがあります。いわば見た目の看板をいかに派手にするかが最優先になっていて、中身を磨くことに無頓着なのです。

まとめれば、「地道さ」とは「自分のありのままの位置を知って、正当なやり方で忍耐強く、外からは見えない中身を磨く」ということになるでしょうか。



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