うつ病には休息?それとも行動?(2)

前回の(1)ではうつ病への対処として「休息と行動」という視点から考えてみました。実はそれら以外にも大事な視点があります。今回は「思考」という視点でうつ病からの回復をわかりやすくお話ししたいと思います。(ここで言う「思考」は専門的には「認知」と言われますが、一般読者を想定してより受け入れられやすい言葉を使います。)


前回の文章でも触れましたが、うつ病になるとものの考え方が否定的な方向へ向かいがちです。たとえば、「常にだるいし、いつもはしないようなミスばかりしている。」などと自分自身に対して否定的な捉え方をすることが多くなります。その症状についても「あらゆる方法を試したけどどれもうまく行かない。もうこれが一生続く気がする。ずっと治らないだろう。」と将来の回復も信じられなくなることがあります。「話す元気も出ないし、みんなにとってはつまらない人間になってしまった。」と身の回りの対人関係もネガティブに捉えることもよく見られます。


カウンセリングでは必要に応じてこれらの考え方をカウンセラーと一緒に見直していく作業をすることがあります。「常にだるいと思っていたけど、本当にそうだろうか?」と一日の観察記録に基づいて考え直してみると、「最近は午後になると少し調子が上がっているようだ」などと、今まで考えたことのない見方が出てくることがあります。


「あらゆる方法をやったと言われましたが、具体的にどんな方法を試しましたか?」とカウンセラーに聞かれると、まだ試したことのないやり方がいっぱいあることがわかってきたりします。「みんなにとってつまらない人間とのことですが、そう思う根拠を上げてみましょうか?」と問われると、「人からつまらないと言われたことは一度もないし、根拠らしい根拠もないかな」とだんだん思えてきて、笑顔が出てくることもあります。


このように、うつ病の最中に自分がふと考えていたことを改めて見つめ直してみれば、考え方が偏っていたり、狭まっていたり、根拠が薄かったりすることに気がつくことは多いものです。ひとりで考えていると見えにくい思考の特徴が、カウンセラーと話すことで明確になることが期待できます。そしてより現実的な判断をしていくことが可能になります。


うつ病から回復する上で「休むか働くか」の視点だけでなく「どう考えるか」の視点も極めて大事になってきます。考え方が気分にも影響してくるのです。


( ジョウビタキ )