カウンセラーの頭の中

カウンセラーは相談者の人と対面し、お話を聞いているとき、主にどんなことを考えているのでしょうか?ただ漫然と話を聞いているわけではありません。カウンセラーは日々、相談者の話すことをどのようにわかろうとしているか(あるいはそうするためにどのように訓練されているか)を簡単に説明してみます。


そもそも「わかる」という言葉は「分ける・分類する」ことに由来しているようです。精神科医ならば患者さんがどんな診断カテゴリーに当てはまるかを見極めようとして話を聞きます。アメリカ精神医学会が出しているDSM‐5という診断基準は精神医学の領域では標準的に用いられているものですが、一定の基準に症状が当てはまるかどうかで分類が決まり、診断されます。臨床心理士・公認心理師は医師ではないので診断をつけることは行いませんが、知識として医学的診断を勉強しています。


精神科医やカウンセラーが質問紙などの心理検査を行う理由も、診断や見立てに役立てるためです。カウンセラーが対人援助場面で人を理解しようとする時も、目の前の相談者がどんなタイプの人なのかと考えながら話を聞くことももちろんあります。


一方、特にカウンセリングの分野ではカウンセラーが基本的に身につけるべき態度のひとつとして「共感」が大事だ、ということがよく言われます。これはロジャーズの学派だけに留まらず、他の流派でも使われる言葉で、いろいろな意味で用いられています。ロジャーズのクライエント中心療法においては共感的理解とは「クライエント(来談する人)の私的な世界をあたかも自分自身のように感じ取ること」と説明されています。


カウンセラーは相談する人の話をただウンウンと聞いているのではなく、相手の身になって感情移入的に理解しようとして耳を傾けているわけです。だんだん理解が深まってくると、その人の言動やエピソードのひとつひとつにその人らしさを感じ取れることも多くなります。そのための訓練として傾聴する練習や事例検討、文学作品などの芸術に触れることなども行われています。


カテゴリー的分類と共感的理解はどちらも重要なものです。どちらも一度理解すれば完成というものではなく、援助する側とされる側のやりとりを通して、時間の経過とともに必要に応じて修正・変更されて発展していきます。知的理解(分類)によるものだけでなく情緒的(感情移入)・身体的(相手の身になる)理解に努めているわけです。なかなか集中力とエネルギーが必要な作業です。

     (カイツブリ)