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カウンセリングと助言

面接中の「助言」に対してどういう考え方をするかは、カウンセラーの立場よって違いがあるようです。今回は「助言」について思いつくままにお話しします。


たとえば、「人の相談を受ける側は、自分の意見は我慢して相手の言うことを傾聴したほうがいい」という考え方もあります。一方、「援助者の助言や意見、励ましなどを積極的に伝えて、サポートしていくのがいい」と思っている人もいます。いろいろな方針が尊重されていいと思いますし、むしろそのほうが世の中に貢献できそうです。


来談する人の動機は多様です。ただ傾聴してほしい人もいますし、何か新しいアイデアや知識を求めている人もいます。私のカウンセリングの場合は、あらかじめそこの希望を言っていただいてもかまいません。可能な範囲で要望に沿うようにしています。


正直なところ自分の接し方を振り返ってみると、相談者のニーズやペースによって、あるいは特定の局面に応じて前者になったり後者になったりしていると思います。私としては、対応のスタンスは臨機応変に調整していくのが性に合っているようです。専門病院などではなく、街の相談室、すなわちバラエティーに富んだ相談を引き受けていく立場なので、そのスタンスでないと成り立ちにくい事情もあります。


カウンセラーが冷静さや落ち着きを失っていたり、親切にしたい気持ちが高まったりすると、必要以上にアドバイスしたい気持ちが出ることがあります。そんなとき私は何か言いたい気持ちを抑えて、傾聴に徹することもあります。また、人に頼る傾向の強い相談者には、あえて助言は少なくして、まず自分の頭で考えてもらうこともあります。カウンセラーの助言は御神託ではありません。


また、日々の課題設定や具体的指示があったほうが困りごとに取り組みやすいタイプの相談者には積極的に助言をしていきます。相談者の人が客観的にみて明らかに望ましくない方向へ進んでいきそうな場合も、よりよい方法をいくつか提示することもあります。


カウンセリングで伝える助言は、個別の相談者に合わせた内容になっています。したがって、カウンセラーから言われた助言を別の人に教えても、相手に役立つとはかぎりません。たとえ同じ診断名であっても、人により具体的な困りごとや事情は異なります。精神科・心療内科で処方された薬を他の人にあげると違法になるように、自分が受けたカウンセリングの助言を安易に他の人にあてはめて諭すようなことも、控えたほうがいいでしょう。



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