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世界を分割する

  • 8月21日
  • 読了時間: 3分

 「世界の分割」などと言うと、米ソ冷戦時代に生じた東西の対立を思い出す人もいるのではないでしょうか。あるいは500年前に遡って、スペインとポルトガルの間で締結されたトリデシリャス条約とサラゴサ条約による地球の二分割のことでしょうか。

 このような世界の分割はもちろん重要な出来事で、現在の私たちの文化、政治、国家間の交流などに大きな影響を与えています。しかし、ここで考えたい「分割」は、私たち一人ひとりが生きてゆくうえでいつも繰り返している世界と向き合う時の「分割」です。

 世界の分割としては、「図と地」を考えることができるでしょう。人間はもちろんのこと、脊椎動物、節足動物を含む大多数の生物は、その生命を「図と地」に分割することによって維持しています。世界を「図と地」に分けられないとすれば、自分が身を置き移動することもできず、対象を補足することもできないでしょう。

 もうひとつの大切な分割は、「内と外」です。空間的に表現すれば、「こっちとあっち」です。「内の人」は、「気の置けない」や「信頼できる」などによって形容されるでしょう。「内と外」には、必ず「私」が「内」に含まれます。その点で「図と地」とは全く異なります。「内と外」は、いつも「私事」が関わるわけですから、切実な区分だとも言えるでしょう。

 「内と外」は、さまざま言い換えがあります。最も端的な区分は、「味方か敵か」です。この分割は命が関わることがありますから、本当に切実です。

「味方か敵か」よりもやや穏やかな表現「協力か競争か」においては計算を当てはめることができます。「協力」は、「足し算」です。サラミスの海戦において、ギリシャ海軍の三段櫂船は、アテネ軍180隻、コリント軍40隻、アイギナ軍30隻、カルキス軍20隻などでした。ギリシャ軍は都市国家が構成される連合軍ですから、足し算をして総計380隻です。対するペルシャ軍は684隻でした。「競争」というよりもここでは敵対という言葉がぴったりです。敵に対しては兵力を比較しないわけにはゆきませんから、引き算をすることになります。すると304隻の差が引き算の結果出て来て、ペルシャ軍優勢が実感できます。

 ところで、近ごろ「フレネミー」という言葉を耳にするようになりました。友人(フレンド)と敵(エネミー)を合成した言葉です。調べて見ると、1950年代にすでに“frienemy”という単語が印刷物に見られるそうですが、わが国においては、2010年の雑誌「アン・アン」で「親友は本物? 巷にはびこる“フレネミー”に気をつけろ!」という特集記事が掲載されました。2012年にはフレネミー心理研究会の監修による『フレネミーと賢くつき合う33の法則』が出版されたそうです。

 この「フレネミー」、直訳すると「友敵」ですが、良い意味として「好意をいだくライバル」にもなるでしょうし、そうでなければ「裏切る恐れがある身近な存在」であるかも知れません。いずれにしても目の前の人が「友」なのか「敵」なのかが、分からなければ「足し算、引き算」も、「協力、競争」もできません。しかし、この「フレネミー」が関ケ原の戦いにおける小早川秀秋のように勝敗を左右することは少なくないでしょう。

 たいていの社会人は、幼馴染や学校での同級生などとともに仕事をすることは少ないでしょう。ある人と出会ったら、その人が「内の人」になるのか「外の人」になるのか分かりたいものです。その人に対する信頼感がただひとつの有用な物差しだと思います。


天使と悪魔
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