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気遣いと遠慮、そして忖度

更新日:4 日前

カウンセリングでは、多様な「疲労」の話題が登場することがよくあります。肉体的疲労の場合もありますが、精神的疲労、すなわち「気疲れ」があることを訴える人は多いです。たとえば、気持ち的に敏感になっている人や、社交不安症や発達障害を持つ人は、対人関係の場面で相手への配慮を優先させ、かなり気を遣い、後で疲労感が現れやすいことがあります。


社会的な場面では、とくにフォーマルな場所や接客対応などではなおさら、対人関係上一定の配慮が要求されます。思いや感情をすべて口にすることはできませんし、その環境が持つルールから大きく外れることは、何か正当な理由がないかぎりリスクを伴いがちです。


文化的な要因も大きく作用しています。たいていの場面で、日本文化では他者との調和を第一に考える傾向が強いようです。文化的な要素は私たちの身体にしみ込んでいて、知らず知らずのうちに大きな影響を与えています。


いくつか例を挙げると、「気遣い」は相手のことを考えて言動を選ぶこと、「遠慮」は厚かましくならないように控えめにすること、「忖度(そんたく)」は多くは上下関係において、先回りして相手の意図を察して行動することを表しています。ものごとをはっきり言う傾向が強い欧米とは違い、日本では相手の非言語的なサインを伺いながら(空気を読みながら)、配慮の微妙な綱渡りを行っていく必要があります。


ところが、相手への配慮が過剰になり、行動パターンとして固定化してしまうと、自分自身を抑えすぎて不都合が生じることがあります。ある種の「メンタル症状」や「問題行動」は、そのようなメカニズムから生じるものがあります。とくにルールが厳格な、緊張感の高い環境となると不適応を起こす人もいます。そのような人は、どこかで、自分自身の身体感覚や気分感情に戻ることができる体験を持つことが役立つのではないでしょうか。


カウンセリングは、自分の思いや感情を自由に語ることができる場です。とくに話し方のルールやマナーがあるわけでもなく、表現の上手下手はまったく問題にされません。むしろ逆に、フォーマルな社会的場面で語れない内容も表現できる場所になっており、その秘密は守られます。基本的に、事前の学習や準備もいりません。対人関係の気疲れを何とかしたい方の来談をお待ちしています。


                                      ツグミ


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