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目標の具体性について(2)

前回に引き続き、カウンセリングの目標について、思いつくままに考えてみようと思います。


ずいぶん昔の話になりますが、私は学生時代、目標設定の仕方が上手ではないところがあったと思います。たとえば受験勉強で、1ヵ月でこの参考書を1周するという目標を立てても、実際は思うように進んでいかないことが多かったように思います。同様のことはみんなが経験するでしょう。


とくに焦りの気持ちや、自分の能力への過信などがあったりすると、実現不可能な目標を立ててしまいがちです。でも、始めから目標の立て方が上手い人はいないかもしれません。失敗を繰り返して学んでいくことが大切です。失敗が多いということは、もしかすると、それだけ挑戦している回数が多いということかもしれませんね。自分のその意欲をほめてあげてもいいでしょう。


私の場合、もう少し年齢を重ねてからは、「たとえ10冊やりとげると計画して、実際は数冊しか読めなかったにしても、その数冊を読破できたことが貴重な体験なのだ」と思うようになっていきました。まあ、ポジティブなとらえ方ということですね。そして、計画表の立て方も以前よりは無理のないものになっていきました。


カウンセリングの道のりも、こんな感じでしょうか? やってみるとわかると思いますが、いつも参考書を読んでいくように単純でないことが多いものです。まず、どういう道のりで解決に至るのか、前もって俯瞰的に全体像を予測できない場合もあります。とにかく、あきらめずに何かできることに取り組んでいくうちに、次に行うとよい課題が見えてくることもあります。


できることをあきらめてしまうのは、本当にもったいないことです。目標設定というと、何か難しい、修養的なものばかりを考えてしまう人もいるかもしれませんが、そうともかぎりません。日常的なささいなことであっても、成し遂げられると非常に嬉しかったり、心が温まったりすることはたくさんあります。これは、ほんとにそうですよ。


ときには、前進できたと思いほっとしていると、予定にはなかった壁が急に現れてくることもあります。その壁を崩すためにあらゆる努力をしても、上手くいかず、泣く泣く別の道を探すような場合もあるでしょう。しかし、そこでした努力が、思わぬ別の場面で役立ってくることもあります。人生というものは本当にわからないものです。


                              ハト( 葛西臨海公園)

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