自分に優しく(2)



前回の(1)では世の中には「過度の自己批判」をしがちな人がいることをお話ししました。そして反省過剰な人にとっては、もっと自分に優しくなって良いところも含め客観的に自分を見つめられるようになって、前に進んでいくことが大切だと私は述べました。今回はそれとは別のタイプの人々について考察してみましょう。


世の中には「過度の自己批判」とは真逆の「過度の自己肯定」をするタイプの人がいます。専門的に言えば前者は超自我(スーパーエゴ)が強く、後者は自己愛(ナルシシズム)の強い性格傾向です。自分に対する批判や肯定が現実離れして強力になればなるほど社会生活にも不都合が生じ、病的なレベルになっていきます。


「過度の自己肯定」をする人は「自分に優しい」というより「自分に甘い」ということになるわけですが、念のために言っておくと、適度な自己肯定であれば特に問題はなく、むしろそれは生きていくのに必要なものです。しかし厄介になってくるのは、明らかに過ちを犯している状況で、周囲も巻き込んで迷惑をかけているのにもかかわらず、それでもなおその本人が過ちを認められないような場合です。素直に「ごめんなさい」が言えない人がいますね。本人にしてみれば言い分があったとしても、それは一面的な理由かもしれません。周囲の人にももっともな言い分があるわけです。自分に甘い人は、自分の立場しか考えられず周囲の人の思いを軽視してしまいます


そのような場合、前に進むためには真に反省するということが必要になるわけです。しかし「過度の自己肯定」に陥っている人は、すぐに失敗を認めて態度を改めることが難しい場合があります。そして意地を張ることで、状況をますます悪いものにしてしまうことがあります。反省するためには相当痛い現実にも向き合わなければなりませんが、人間が本当の意味で自分を見つめるということは大変難しいものです。反省するためには冷静になって今までの自己認識を大きく変更する必要があるからです。もし正しく認識を改めて一から新たな道を歩んでいく覚悟ができれば、それは幸せな人生を生きるためのターニングポイントになるかもしれません


カウンセリングに訪れる人の中には、自分を見つめる必要のある転機に遭遇している方がいます。偉そうなことを言っている私自身、今までの人生を振り返って正直に告白すれば、「過度の自己批判」をする部分も、「過度の自己肯定」をする部分も両方とも自分の心の中にあったと感じます。残念なことですが、周りの人に迷惑をかけてしまった出来事はたくさんあります。そんな時にご指導を頂いた人々には感謝あるのみです。改めるところは改めて生きていくしかありません。まったく、人生とは学びの連続でもあります。


                                (写真はヤマガラ)