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自粛生活と家族関係

5月25日、緊急事態宣言は解除されました。油断はできませんが、私は「やっとここまで来たか」という気持ちです。さて今回は、東洋経済ONLINEの『150人調査で見る「コロナ下の日本人」驚く変化』という記事をもとに、現在までの自粛生活が日本人の家族関係に及ぼした影響を考えてみたいと思います。(今回の内容はあくまで記事に基づくものであり、私が担当して関わった相談ケースとは一切関係がありません)

医療従事者の方の中には、家族に感染させないために自宅へ戻らず、ホテルなど別の場所で生活をしているケースもあります。なので、一概には言えませんが、一般的には在宅でのリモートワーク・休業・休校・イベントの中止などにより、「家族がひとつ屋根の下で一緒に過ごす時間が増えた」という家庭が多いのではないでしょうか。たとえば気分転換としてライブに行くことが趣味だった人がいたとします。自粛によりそれが急にできなくなってしまったとします。このように自由が制限される自粛生活ではストレスが溜まりがちです。長年慣れ親しんだ通勤生活から突然自宅勤務に変わり、今までの生活習慣を変えざるを得ないストレスもあるわけです。家族が外出しないため「子供の勉強や生活を見る負担が増えた」「介護をする心身の負担が増えた」という状況も生じています。先行きが見えない状況の中、経済的な不安も当然生じます。誰しも多かれ少なかれそんな気持ちを秘めつつ生活しているわけですね。

そこへきて「夫が家事を全然手伝わない」「理解してくれない」とか「子供が1日中ゲームばかりしている」とか、そういう現実に直面するとイライラが爆発しかねないわけです。家族の間でコロナについての危機意識の違いや、子育てについて教育方針の不一致が浮き彫りになってしまったという場合もあります。家族の嫌なところについて今までは見て見ないふりができたかもしれませんが、四六時中同じ空間にいる状況では嫌でも目に入ってきます。物理的に離れられる時間が減少したため衝突が起きやすくなります。それはコロナにより初めて生じたものではなく、もともとあった夫婦間・親子間の葛藤がより深刻になったケースと捉えるべきかもしれません。極端な場合はいわゆる「コロナ離婚」と言われる事態まで引き起こしています。

ところが人間はそう単純ではありません。同じような状況に陥っても、受け止め方や反応の仕方は十人十色です。自粛生活が家族関係に良い影響を及ぼしたという声もあるようです。「一緒に過ごす時間が増えたことで、今まで気がつかなかった家族の良いところが見えるようになった」という人は幸せを感じているとのことです。在宅ワークで働いている父親の姿を見て、何か手伝いたいと思った人もいます。もともと社交的ではなく家にこもりがちな人は、みんなが家にいる状況なので、人目を気にせず安心してひきこもっていられると感じているそうです。人と人とのつながりの大切さに気づき、結婚したいと考えるようになったという人も出てきているようです。困難な状況下でもこのような捉え方ができる人がいる事実は、もっと注目されて良いと思います。自粛生活は、私たちが忘れかけていたものを思い出させてくれている側面もあるのかもしれません。

感染者数が減少し経済活動が少しずつ回復に向かおうとしている現在、コロナに関係なく今後もリモートワークを続けたいという声は意外に多いと聞きます。これからの家族関係は一体どうなっていくのでしょうか?世の中の動向を見守っていきたいと思います。

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