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行動的な自分探し(3)

前回の最後では、行動することによって他者との出会いがあるかもしれないことに触れました。ギターを習う例で今風に言えば、「SNSでギター好きとつながる」とか、そんな感じです。ギターという趣味を通して人間関係が広がっていく可能性があるというわけです。もっとも、人とつながるためには自分から話しかけるような積極性が必要になりますが。


人間というのは、「何かを通して」仲良くなることが多いわけです。何でもいいから雑談をして、ただ仲良くなりましょうというのは、不可能ではありませんが難しいかもしれません。共通の目標や趣味を介してとか、同じ県の出身であることがわかって盛り上がるとか、何か共通に眺めるものを介して人と人がつながるところがあります。


そうして人とつながってみると、初めて自分の特徴が浮き彫りになってくることがあります。たとえば、あの人は楽譜に忠実に弾いているとか、自分は楽譜を見ていないとか、それまで気づかなかったことが見えてきます。これは自分一人でやっていては発見できないことかもしれません。他人と一緒に活動して、自分らしさがわかってくるのです。


最近の若い世代の人は、他人と自分を比較して劣等感に苛まれる人も結構いるようです。たしかにそういうことも起こりえますし、それはそれで辛いときもあります。しかし、他人の中に、ある程度は入っていかないと、自分のいいところも発見できないかもしれません。自分の欠点を発見したとしても、微笑ましい欠点であれば、それはそれで面白いと考えてみましょう。


今年度の京都大学の入学式では、総長が「出会いによる自己発見」についてお話をされたそうです。「学生生活の中で多くの新しい出会いを経験し、素晴らしい自分を発見することを祈念します」とエールを送ったそうです。学生時代は、多様な出会いが体験できる貴重な機会だと思います。


日々のカウンセリングの仕事では、いろんな話題を聞かせていただいていますが、「出会いによる自己発見」のテーマなどは、わりと出てくることが多い話題かもしれません。いろんなシチュエーションがあるので、お聞きしていて興味深いです。

      (カルガモ)



引用文献 木下倫太朗(2024/4/5) 「新たな出会いで自己発見を」京大がみやこめっせで入学式 産経新聞オンライン

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