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言葉にする喜び

例えば、ある映画を観た時に「これは傑作だ」と感じることがあります。場合によっては、その後に好きなシーンや作品全体を繰り返して視聴する人もいるでしょう。良い作品に触れると、「こういうのが観たかった」という嬉しい気持ちになりますし、自分自身の創造力も刺激されることがあります。


優れた作品に出会った人に、「なぜその作品が面白いのですか?他の凡庸な作品とどう違うのですか?」と尋ねたとします。映画評論家のようにうまく説明できる人もいるかもしれませんが、たいていの人は言葉で説明することの難しさを感じることが多いのではないでしょうか?「説明はともかく、とにかくその作品を観ればわかります。」と言いたくなるかもしれません。


このように、何かを感じてはいるものの、それを言葉でうまく表現できないことがあります。一度表現してみても、何か違う感じや言い尽くせない感じが残り、すっきりしない場合があるのです。


芸術作品の美しさや食べ物の味など、言葉を用いて相手にうまく伝えることが難しい感覚というものもあります。カウンセリングで扱う人間の微妙な感情なども、言い表すことが簡単にはいかないものがあります。


したがって、カウンセリングでも「うまく言えないな」と感じることがあると思います。気持ちを言葉にすることは必ずしも簡単ではありません。しかし、何回も面接を重ねているうちに、やっと適切な表現を見つけて、言いたかったことを言語化できる体験をすることがあります。それがきっかけとなり、心のバランスを取り戻すこともあり得ます。


カウンセリングでは同じ出来事について、何度も繰り返し語ってかまいません。カウンセリングでは時間をかけて、自分の気持ちとゆっくりとつきあうことが可能です。さまざまな角度から一つの出来事を見つめているうちに、自分が納得できるように表現できるようになることも起きてきます。気持ちを言葉にすることで心に回復や成長をもたらすことができるのです。

    ハト

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