ふだんの現実の人間関係に疲れて、一時的に非日常の世界に救いを求めようとする人は多くいます。旅行や映画鑑賞もそのような行動の典型的な例です。特に若い世代では、インターネットの世界に浸るという行動様式が広く浸透しています。適度に行えば気分転換になります。
学校でいじめられて不登校となり、SNSにはまるケースもあります。SNSでの見知らぬ人との交流は、現実の人間関係より「優しい」とか「わかりやすい」と感じている人もいます。そのような人とのつながりが、気持ちの安定にある程度役立つ側面も確かにあります。
ただし、SNSには甘い言葉をささやきつつも、何か別の良くない意図を持っている人もたくさんいます。うっかりそのワナに引っかかってしまうと、大きな時間的、経済的損失につながる場合もあります。
また、SNSで流布していることは、根も葉もないデマ、単純化された考え方、一面的なものの見方、事実というよりは願望ということも非常に多いのです。批判的に情報を吟味することができないと、簡単に騙されてしまうおそれがあります。
身近な家族や友達は、SNSの中の人たちより厳しくて、難しい言葉をかけてくることもあります。しかし、それは悪意というよりも、本当に心配して忠告してくれているのかもしれません。「良薬は口に苦し」ということわざの通りです。
もちろん、リアルな世界にも、あまり関わらないほうがよい危険なタイプの人もいます。しかし、厳しいことを言う人すべてがあなたの敵かというと、必ずしもそうではありません。あなたのことを真剣に考えるがゆえに、警鐘を鳴らしてくれる人もいるのです。そういう人の存在はとても貴重です。
リアルな人間関係は、時に重たくて面倒くさいと感じるかもしれません。そうだとしても、身のまわりの人たちの声に、もう一度耳を傾けてみましょう。その意味をよく考えてみると、ものごとの解決の糸口が見えてくることがあります。
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