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迷いがないAI

  • 2月27日
  • 読了時間: 3分

 この2、3年の間にAIが世間一般の話題にのぼるようになりました。AI、人工知能と訳されるこの言葉は、かれこれ70年ほど前に生まれました。人工知能の「知能」とは何かという問いに対して、コンピューターを構想したチューリング自身が、回答を用意しています。ある人物が、誰だか分からない対話者に対して、「相手は人であると判断したときその対話者は知能がある」というチューリングテストを考案しました。1960年代に入ってワイゼンバウムが作成した“ILIZA”というプログラムが早くも人間であると判断された記録が残っています。その後AIのブームがいくつかあり、また下火になりました。

 私たちが、現代のAIに再会するのは、ChatGPTが2022年にインターネット上で運用され始めてからでしょう。このAIはその名にふさわしい洗練された知能を備えているようです。日常的な質問、「渋谷でドイツからの30代の女性研究者とくつろいで会食できる和食レストランは?」にも、「今年ニューヨーカーの間で受けそうなスニーカーは?」などに対しても、とても気が利いた回答をしてくれます。その他にも大学の専攻分野で学生がレポート作成するときにも有益な示唆を与え、さらに代筆もしてくれます。もっと素晴らしいサービスとして言葉でリクエストしても、音楽、美術、文学などの具体的な作品にして提供すらしてくれることです。すごい時代になったものです。AIは、専門用語では「万能近似定理」に従って膨大なデータの中からもっともまことしやかな回答を引き出してきます。

 このような如才ないAIにカウンセラーの役割を担わせることも十分考えられることです。実際にインターネットでAIとカウンセラーとかけて検索するとたくさんの活用例が示されています。ただ一方で、AIとやり取りをしているうちに具合が悪くなったという報告もあります。繰り返しになりますが、AIは如才ないのです。スマホがあればいつでもどこでも対応してくれますし、ケアの言葉が添えられた申し分のない回答であることも少なくないでしょう。

 では、何が問題なのか。それは一言でまとめると「迷いのなさ」でしょう。クライエントは迷っています。その迷いに対する解答を求めています。もしたちどころに名答が得られるのなら、それで良いではないかという考えもあるでしょう。しかし、本当にそうなのでしょうか。

 カウンセリングは、「のために(for)」ではなく、「いっしょに(with)」であることが大切だと私は思います。AIはクライエントのために(for)何らかの働きを発揮しますが、クライエントといっしょに(with)いるわけではありません。クライエントが迷っているのであれば、カウンセラーもいっしょに迷う存在でありたいと思います。

私たちは人です。


五日市の雷獣フィギュア( 三次もののけミュージアム )
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