面接前に準備は必要?

カウンセリングを受ける人の中には、話すことを事前に周到に準備して来談する人がいます。考えてみれば、誰しもある程度は何をどう話そうか頭の中で軽くリハーサルしてから相談室に赴くものかもしれません。


しかし、ここで準備してくる人というのは、話すことを紙にまとめたり、いろいろな心理学的な本をたくさん読んできたりする人のことを指します。熱心に取り組む態度とも言えますが、これについては後述するようにマイナス面もあります。


面接前の準備についてはどうしていくのがよいのでしょうか?結論から言ってしまえば、準備するのもしないのも相談者の自由だと私は考えています。


とくに初回の面接などでは、込み入った事情をカウンセリングの時間内で伝えるときは、あらかじめ整理してきてからのほうが話しやすいと考える人もいるでしょう。また、話したいことを全部忘れずにカウンセラーに伝えられるかが不安な人は、紙を見ながらしゃべったほうが安心する人もいると思われます。


したがって、事前に書類などを準備したほうが安心だという人は、ある程度は持参してきてもかまいません。さらに言えば、心理療法の中には、シートに記入するような方法を使ったり、宿題を出したりするものもあります。このような心理療法を受けている場合には、当然のことながら準備が必要になります。


ただ、面接に臨むカウンセラーは、紙に準備された言葉よりも、面接室の中の「今、ここで」感じたことをそのまま口頭で言語化してもらうことを大切にするものです。紙に書かれた内容でも、その場で説明してもらうように促すカウンセラーは多いと思います。


カウンセリングでは、スピーチのように上手に話せるかどうかは全く関係ありません。使い慣れた言葉で具体的に話せればよいのです。その時に思いついた順番で話し、話がまとまっていなくてかまいません。すぐに言葉にできない時はしばらく沈黙してもよいのです。


カウンセリングは単なる情報交換の場でなく、気持ちを見つめる場でもあります。そのためにあえて長い時間と落ち着ける環境を設定しています。「台本」の通りに話すようなやり方では、自分のありのままの気持ちに触れることから遠のいてしまいます。心理学の本に書いてあるような借りものの言葉で話すのではなく、自分の言葉で話してみましょう。


( ヤマガラ )