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顔認証(2)

相談するときに語られる、その人自身の考え方や感じ方、趣味嗜好、人生の物語は、顔・指紋・虹彩のようにどれ一つとして他の人とまったく同じということはありえません。前回は、カウンセリングではクライアントに関する固有の情報を扱うことをお話ししました。そこで扱われる内容はまさに個人情報そのものです。


そうすると、カウンセリングで話したことが他所に漏れることがないか不安になる人も当然出てくると思います。ある特定の病態では、秘密が漏洩することを著しくおそれる人もいるでしょうし、そのような状態でない人でも、昨今のネットセキュリティー事情や詐欺的な事件などに関するニュースを耳にして、心配する気持ちが出てくるのも納得できることです。


かなり周知されてきているとは思いますが、臨床心理士や公認心理師などの資格では、来談された方の秘密を守ることは職業倫理として明確に規定されています。めったにありませんが、誰かの命が危険にさらされるような特別な緊急事態を除いて、個人的な秘密を他者に伝えることはありません。


これは、たとえカウンセラーが仕事を転職・引退した後でも同様で、過去に知りえた個人情報を勝手に他者に話すことは許されないのです。上記のような資格を持つカウンセラーであれば、守秘や秘密保持に関する重要性を、教育を受ける段階からみんな認識しているはずです。


さらに言えば、面接中では個人的なことを何もかもカウンセラーに話すように強制されるわけではありません。基本的には、話したいことを話したい順番で言葉にしていければいいのです。主導権はクライアントのほうにあります。カウンセラーに尋ねられても、「それは考えないようにしておきます」でも何でもいいので、あまり言いたくないことを自分なりに伝えてかまわないのです。


もちろん、誰にも言えなかった思いを人に語ることは、予想以上に良い効果をもたらすことがあります。自分自身のほんとうの思いを受け止めてもらえる体験は、自分を認めることにもつながりますし、さらに次のステップに進んでいくきっかけにもなります。


しかし、人に語ることで、トラウマティックな記憶のフタを開けてしまい、きわめて不快になるようであれば、今は語らないほうがいいという場合もあります。それ以外の場合でも、むしろあえて話さないということが気持ちの安定に貢献する場合もあるでしょう。このように、なかなか難しいところもありますが、多くの経験のあるカウンセラーはそこらへんの葛藤はよくわかっていると思います。何を話題にしていくかも、カウンセラーと話し合って決めていけることが理想だと思います。



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