高齢化の進展とともに認知症は増加傾向にあり、以前にも増して身近な病気になってきています。
よくある症状は、同じことを何度も聞く、ものを置いた場所がわからない、言おうとした言葉が出てこない、ものごとの段取りを立てられない、などがあります。怒りっぽさや意欲低下などが見られる場合、徘徊して行方不明になるとか、悪徳商法の被害にあってしまうような場合もあります。運転免許の自主返納を考えていく場合もあります。
認知症の可能性についてご本人が心配しすぎているケースもありますが、逆に病気を否認しているケースもありますので、家族で話題にし、程度を見極め、必要に応じて早めに医師に相談することが大切です(加齢によるもの忘れと認知症の違いは文献2にも書いてあります)。
正常圧水頭症などのように治療可能な認知症もありますし、服薬や適切なケアで進行を遅らせることができる場合もあります。
アルツハイマー型認知症や血管性認知症に関して、生活習慣病(高血圧や糖尿病など)との関連性が指摘されています。バランスの良い食生活、適度な運動、他者との交流、楽しめる活動を継続することなどが、認知症予防につながるとも言われています。
周囲の人は、認知症の人が抱える「今後が不安な気持ち」や「失敗が増えて落ち込む気持ち」などを十分に理解して、ご本人のプライドに配慮した手助けをしていく必要があります。カウンセリングでは認知症の人を支える人の大変さに寄り添い、お話を傾聴し助言していく場合もあります。
私が担当する面接場面では、今までのところご本人からもの忘れなどの相談を受けるよりも、そのご家族から認知症を持つ(あるいはそれが疑われる)人についての話を聞くことのほうが数としては多いです。
通常、認知症の可能性および対処について相談できる信頼性の高い機関としては、かかりつけ医や認知症専門医療機関、地域包括支援センター、市区町村の相談窓口などがあります。介護保険サービスや成年後見制度について知っておくことも、きわめて大切です。
参考文献
1) 知って安心 認知症 東京都福祉局
2) 認知症を患う人を支えるご家族の方へ 国立長寿医療研究センター

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