最近でもコロナ禍は続いているとはいえ、以前は自粛の対象になることが多かった職業が活動を少しずつ前の状態に戻す動きが出てきましたね。旅館や飲食店などはその代表的なものです。
さて、そのような「客商売」に従事している人は、いつも笑顔でいることが必要とされることが多いです。プライベートでいろいろ悩みを抱えていても、仕事の場面では、おもてなしの基本としてお客様に明るい印象を与えることが要求されることが多いのです。
精神科医の中井久夫先生は、「会社でいえば部長級以上、学校でいえば教頭以上、助教授・講師以上、中央官庁でいえば課長以上などの偉い人は、うつの最中でも顔を作ることができて、笑顔を絶やさない人が多い。」と言っています。うつの感情を隠して微笑むことを「スマイリング・デプレッション」といいます。
このように、対人的なかかわりに長けた人は、ある程度自分の感情を隠して、「顔を作る」ことが上手な人が多いと思われます。職業的にそういうスキルが求められるわけですね。
ただ誰しも人間ですから、完璧に自分の本当の感情を隠蔽するのは難しいことも多いでしょう。どこかに本当の感情というものは表れてしまうものだと思います。
同じく精神科医の神田橋條治先生は、いくら「スマイリング・デプレッション」でも、顔の下半分は偽れないので、目が笑っていても顔の下半分が笑っていないので見逃さないようにと言います。もっとも、コロナ禍でカウンセリングの場面でもお互いにマスクをしている状況では、顔の下半分を見ることができませんが。
ともかく、一見したところ顔は笑っていても、心の中に深い落ち込みを感じている人もいるので、その周囲の人もよく見てあげて、サインを見逃さないことが大切です。
ホタルブクロ
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