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顔認証

スマートフォンのロックを解除するときに、数字などの入力の代わりに、顔認証を利用している人も多いでしょう。あらかじめ所有者の顔を登録しておけば、あっという間に認識してくれて、たいへん便利です。最近の機種では、マスクをしていても正確に識別してくれます。


しかし、その機能は完璧ではありません。私も経験がありますが、自分の顔を認識してくれず、うまく開けないときもあります。話によれば、照明や背景、表情などの条件によっては、システムが誤認を起こし、正しい人を正しくないと判断したり、正しくない人を正しいと判断したりすることが起きうるそうです。面白いのは、双子など顔立ちがそっくりな場合は、やはり誤認の率が高くなるらしいのです。


誤認を減少させるための一つの方法としては、複数の生体認証を組み合わせる方法も考えられています。たとえば指紋なども、昔から各人固有の特徴をもつものとして知られていますね。こういう複数の根拠をふまえた認証の仕方は精度が高く、「マルチモーダル生体認証」と言われます。


なぜこんな話をするかと言えば、カウンセリングでも、カウンセラーがクライアントその人の固有のあり方を捉えていくことが根本的に必要になってくるからです。そういう態度が、相手の存在をほんとうに大切にすることだと思っています。


古代ローマの喜劇作家、テレンティウスが「人の数だけ意見あり」と語ったように、よく聞いていくと人の考えることはじつに多種多様であることがわかります。意見だけでなく、感じ方や趣味嗜好、その人が歩んできた人生の物語なども、顔や指紋と同じように、きわめて千差万別です。


もちろん、学問や政治などの世界などでは、大きいグループに共通する特徴を一律に論じることは普通のことです。しかし、臨床心理学ではマルチモーダルに探究する個性記述的な捉え方も重視されます。そこがまた興味深いところです。知的好奇心を満たすというより、むしろ人に出会う喜びと言ったほうがいいでしょうか。


                                   カワラバト

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