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音像定位

更新日:2023年9月25日

 イヤホンやヘッドフォンで音楽を聴く時代である。細かいところまで音がはっきり分離して聞こえるのは素晴らしい音楽体験である。

 それはそれでいいのだが、いかんせん、音像が頭の中に定位するのがいただけない。脳の中に音場が展開しているのが、自分の内側過ぎて隙がなく、頭の中がややきゅうくつである。ちなみに、幻聴の聞こえ方も頭の中に音像定位されることが多い印象がある。

 私は昔ながらのスピーカーで聴く方が好きである。スピーカーを後ろのその壁から1mくらい離し、二つのスピーカーを底辺とする三角形の頂点に座り、段々と近づけていくと、よりはっきり聞こえたり、音に包まれる位置を定められる。

 音量は人が歌っている生の声と同じくらいにする。他の楽器がある場合、若干大きめにすると声がよりはっきりする。あまり加工されていない声の音源を使うとよりリアルになる。

 音像は私の頭の中ではなく、2m程前の2つのスピーカーの真ん中にある。そこにボーカリストが召喚されきて、まっすぐ私に向かって歌を歌ってくれている。息継ぎの音も聞こえる程近くの声の目の前で私は聞いている。

 声でなくても、ピアノなど生の音に慣れ親しんでいれば、それで合わせてもいいかもしれない。声や楽器が渾然一体となっている曲なら自分の好みで合わせればいいだろう。

 一方で、音量がある程度大きくなると、音像というか、音楽の姿が立ち現れてくるポイントもある。だから、あまり小さな音で聴いていると、その音楽の姿が見えないのではないかと思う。

 このように、ヘッドフォンで音像を内在化させずに、スピーカーで音像を外在化させると味わい深い。


 カウンセリングにおいても、なるべく良い音像定位が望まれる。生のライブなのでそのままでいいのだが、音量に応じて距離や向きを若干変えてよりクリアーな音像にしている。私の声がどう聞こえているかはまた別の問題である。最大の問題はコロナ対策での衝立で、やむをえないとは言え、かなり音質を損ねており、時々聞き返したりすることもある。

 カウンセリングにおいて、音像はセラピストやクライエントの頭の中ではなく、カウンセリングルームの中の二人の間の空間に定位されている。





 

 

 

 

 

 

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