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あの雲、何に見える? ①

心理検査を説明する文章の中に、「・・・子どもの頃に、空に浮かぶ雲を見て何に見えるかという遊びをしたことでしょう。たとえ同じ雲を見てもソフトクリームに見えたり、乗り物に見えたり、、、さまざまな十人十色のお答えが見つかるものです。その方らしいお答えの中に、その方の個性が隠れているのです」というようなフレーズをよく見かけます。

その説明は確かにわかりやすく、以来、私は空に浮かぶ雲を見るとその説明を思い出すようになりました。

 

心理検査を勉強する学生の皆さんの前で検査について90分くらい話をさせていただいた後、「今日の話の中で『一番印象に残ったこと』や『一番疑問に思ったこと』は何ですか? その事柄を中心に、今日学んだことを数行でまとめてみましょう」という課題を出すと、聞き手によって随分と異なるコメントが寄せられます。皆さん、90分の話の中で「!」や「?」と感じるポイントがそれぞれまったく異なっていて、それぞれの「!」や「?」を中心にして作成されたコメントを順に読んでいくと、「各人が学び取ったものがこんなに全然違うとは、皆が同時に同じ話を聞いていたというのは幻で、実は全員がそれぞれ違う話を聞いて学習していたのかもしれない・・・!?」という感じがしてくるほどにバラエティ豊かな視点からの文章が並び、非常に興味深いです。

 

そんなことからも、「あの雲が何に見えるか」は、雲を見る方それぞれがお持ちの個性(何に興味を持っているか、どのような理解枠をもって物事を眺めているか、などなど)によって、見え方が変わってくるということが、おわかりいただけることでしょう。 視力を使って「見ている」モノは同じであっても、それぞれの心に「映っている」ものは、人によって違うということです。

 

最近では、上段でふれた『個性』以外にも「雲の見え方」を規定する要素があるのではないかな、とも感じており、それについてはまた後日、書かせていただこうと思います。


                      →『あの雲、何に見える?②』に続く



 

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