パンデミックと強迫症

みなさんは強迫症(強迫性障害、またはOCD)という病気を知っているでしょうか?うつ病ほど一般に知られていませんが、カウンセリングの場面ではその症状に苦しむ人の援助をさせていただくことはよくあります。パンデミック以前から決して珍しい病気ではありません。


強迫症状は強迫観念と強迫行為から成ります。強迫観念はたとえば病気や汚れに関することが過剰に気になり、頭から離れなくなることです。強迫行為は長時間手を洗ったり、何度も繰り返し戸締りを確認したりする行為が典型的な例です。不安の解消を他人に手伝ってもらいたくて、家族を巻き込むケースも見られます。


最近は新型コロナ感染症のパンデミックの中で、誰もが感染してしまう・感染させてしまう不安を感じざるを得ない状況です。これは強迫症的な不安とぴったり一致します。特に現在は感染力の強いオミクロン株の出現により、その不安はさらに高まっていますね。コロナ以前にはなかった一定の感染予防対策をして行動することは広く常識となっています。


この状況では強迫症と正常な不安心理の線引きは、時に微妙な場合もあるとは思いますが、パンデミックが強迫症を持つ人々の症状をより悪化させ、強迫症を持っていない人々もより強迫的にさせていることが、さまざまな調査から明らかになっているそうです(外国の研究になりますが)。これはTIMEの最新の記事にも書かれています。(Pandemic Anxiety Is Fueling OCD Symptoms—Even for People Without the Disorder, JANUARY 20, 2022)強迫症の悪化にはストレスの要因も関係しています。


その記事によれば、ニューヨークの認知行動療法センターの創設者兼理事のスティーブン・フィリップソン氏は、世界の他の人々がようやくマスクを捨て、社会的距離を置くことを忘れたとしても、強迫症を持つ人々は古いパンデミックの習慣にしがみつき続けるだろうと心配しているとのことです。


幸い、強迫症からの回復のためには曝露反応妨害法という有効性の高い治療法が行われるようになっており、カウンセリングの場面で実施することもできます。


( 谷津干潟 )