渋谷の四半世紀
- 2 日前
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私は1997年に渋谷区の大学に勤務するため上京しました。そして渋谷駅が通勤先の最寄り駅になりました。ある日通勤ルートとは反対側のハチ公口に出て見ると、スクランブル交差点の角に掛かった街頭大型ビジョンが目に入りました。当時は珍しかったのでとても印象に残りました。渋谷に人が集まるのは随分前からのことでしょうが、このスクランブル交差点は、ハリウッド映画などでも物語の舞台になったりして、外国からの観光客がたくさん来て記念撮影する名所になっています。そんなわけで駅前はものすごい人混みです。人が多すぎるのでハチ公前で待ち合わせをするとハチ公前でお目当ての人を探すのに苦労します。
当時は渋谷駅に降りると、プラネタリウムが併設されている東急文化会館が目につきました。時間の余裕があると三省堂書店にフラッと立ち寄って新書や雑誌を手にとっていました。全国的、むしろ全世界的と言ってよいでしょう、本屋さんが次々になくなっていっていますから、文化会館の跡にできたヒカリエにも書店がありません。宮益坂あたりに点在していた古本屋もなくなってしまいました。
東横線は桜木町と渋谷の間を往復するだけでしたが、二十年ほど前に地下三階にプラットホームが移設されてから副都心線と直通運転が始まりました。副都心線は西武池袋線とも直通運転をしているので、渋谷から横浜の元町・中華街まではもちろんですが、埼玉の飯能までも乗ったままたどり着けます。JR渋谷駅も整備が進み、乗り換えも楽になりました。渋谷のリーチが心理的に水平方向に延びたわけです。
渋谷は長く東邦生命ビル(現クロスタワー)の他には高層ビルがなく、空がひろがっていたのですが、井の頭線を包むようにマークシティができ、セルリアンタワーが現れ、文化会館がヒカリエに建て替わり、渋谷ストリームやスクランブルスクエアなどの高層ビルが立ち並ぶようになりました。一昨年はヒカリエの東隣りにアクシュが開業しました。日本の人口は減っていますが、首都圏の一極集中は続いているようです。そうなると、限られた渋谷の空間も上下に拡がってゆくことになるのでしょう。
広かった渋谷の空はこの四半世紀の間にすっかり摩天楼(skyscraper)になり、文字通り空が削られてしまいました。
空(そら)とは、空(クウ)です。余り、間、余白など、つまり、「ないこと」は貴重です。渋谷に空を残してもらいたいと願っています。






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