こころの秘密(2)

人の悩みを聞く役目を果たすのはカウンセラーや弁護士だけではありません。たとえば、教員や会社の管理職などの立場の人は、相談を受ける機会があるものです。そういうときは、秘密を大事に取り扱うスキルが試されます。秘密を守ることは、相手の気持ちを大切にすることでもあります。


そのような立場の人は、「困ったことが起きたら、何でも包み隠さずに話してください」と生徒・学生や部下に伝えることがあります。そう言うからには、悩みを聞く側は人の秘密を大切に扱うことが必要になります。相談する側にとって、信頼できない人に悩みを打ち明けることは難しく、危険を伴うことなのです。


聞く側にとって、他人の秘密を知ることは時に重荷を抱えるような気持ちになることがあります。そのつらさに耐えられないと、第三者に秘密をばらして楽になりたいという衝動を感じるかもしれません。しかし、心の内を打ち明けてくれた人を裏切らないためには、聞いたことを自分の心の中に抱えておくことが大切です。第三者に秘密を漏らす行為は、信頼関係をこわす原因にもなりえます。


USBの紛失のニュースなども聞いたことがあると思います。また、子どもがいじめの相談を大人に持ちかけたものの、いじめる側にその情報が伝わってしまったという不幸な例もあります。子どもがいじめられている事実を大人に相談すること自体、大変勇気がいることです。大人に裏切られたとなると、その子は何を信じたらよいかわからなくなってしまうでしょう。相談したことがいじめている側にばれて、からかいや暴力がエスカレートすることもあります。


秘密というのは、広い意味では人の悩みや個人情報だけではありません。身近なところですと、ネットの世界では「ネタバレ」と言って、小説や映画、ゲームなどの重要な部分を暴露してしまう行為がたまに見られます。私はネタバレがうっかり目に入ってしまうと、嫌な気持ちになってしまいます。作者やまだ視聴していない人への配慮に乏しい行為のように思われます。秘密をちゃんと守れるかどうかという感覚は、こんなところにも観察することができます。