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すっきり感(2)

前回はうつ病の場合の「すっきり感」についてふれました。今回は不安症の場合のそれについて考えてみましょう。


日常生活でも、「もやもや感」と言われますが、どうもすっきりしない感覚がありますね。不明瞭で何か腑に落ちない、こころにのしかかる不安、あるいは疑念の重圧みたいな感じです。最近の世界情勢でいえば政治経済的な「不確実性」が高まっているなどとも言われます。


このような見通しが立たない状況は、不安を増大させる一つの要因になりえます。困難な状況とか、自分の内面それ自体が理解しにくいものであると、不安感は高まるものです。


逆に、状況理解が進み、霧が晴れてきたように物事の輪郭がはっきりしてくると、「すっきり感」は増してきます。課題に関して、1か月先、2か月先の解決への道筋が見えてきただけでも、気持ちが楽になることがあります。


いまだ完全な解決ではないにしても、混沌とした状況が整理されてくると、圧倒されて手も足も出ない感覚(コントロールできない感覚)は減少します。立ち向かう勇気が出てきやすくなります。政治経済の例で言えば、歴史の前例を学ぶことで見通しや対処のヒントを得て、ある程度の不安低減ができることもあります。


以前の記事でもふれていますが、勇気を出して恐れていたものに直面すると、そんなに大したことはなかった体験が、とくに心配性の人にはあるのではないでしょうか。たとえば、自分の不安症状にある程度の説明(診断名や心理的理解など)がつくことで安心し、「すっきり感」が生じる場合もありますね。閉じた空間である電車に乗ることが恐くなっていた人が、少しずつ再挑戦してみると思っていたほど恐怖感は生じなかった話なども、カウンセリングではたくさん出てきます。


もちろん不安には多様なタイプや軽重の程度があり、一概には言えません。しかし、急がば回れというように、焦燥感に負けずに落ち着いて考えることや、体験に裏打ちされた状況理解は、多くの場合、こころの整理整頓や負担軽減に役立っていくのではと思っています。


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