犬につきまとわれたことがあります。小学生の時に家の近所を歩いていたら、背後に何かの気配を感じ、振り向いたら犬がついてきていました。私はびっくりして一目散に逃げた記憶があります。野良犬なのかわかりませんが、今思えば敵意のない可愛い犬だったのかもしれません(笑)が、当時はとても怖かったので覚えています。
さて今回はストーキングについてのお話をします。一方的に相手に恋愛感情を抱き、その相手にしつこく接近して迷惑行為を与える人々はストーカーと呼ばれます。ストーカーの人が感じている恋愛感情は一方的であるにも関わらず、ストーカーの人は相手もまた自分に恋愛感情を持っていると勘違いをしていることが多いのです。
ストーカーの人が持つ精神病理には、いくつかのタイプが指摘されていますが、典型的なストーカーの人には自己愛の病理があると言われています。自己愛の病理が顕著な人は、知的・社会的に問題なくやれている成熟した人でも、恋愛をすると心理的に子供に返ったような気持ちになることがあります(これは部分的退行と言われます)。未熟な心理状態に返ると、本来自分とは別個の意思を持っているはずの相手に対して、自分の一部のように感じてしまい、相手も自分と同じ感情を持っていると錯覚するようになったり、相手を自分の思うようにコントロールして道具のように使おうとしたりします。
これは乳児と母親の一体化した関係とよく似ています。乳児がほとんど何もしなくても母親が無条件に世話をしてくれるように、自分が相手に何も与えなくても相手は自分の欲しいものをくれるはずだと思い込んでしまいます。もし相手に拒絶されて、思い通りに自分の欲求を満たしてもらえないとわかると、一転して激しい攻撃を向けるようになります。相手の事情を想像することができません。
自我が確立し成熟した大人の関わりができる人であれば、相手とより対等な関係性を保つことができます。言い換えれば、ギブアンドテイクの相互的な人間関係を結ぶことが可能です。そして相手の気持ちを思いやり、相手の自己決定を尊重することができます。恋愛をすると際限なく相手に甘えてしまい上手くいかないという方は、「大人の人間関係」について考えてみるとトラブルが少なくなるかもしれませんね。
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