今回はやや難しい話になりますが、森田療法と認知行動療法の違いについてお話ししたいと思います。この点に関しては、専門家でも必ずしも明確に理解されているとは限りません。一般の方にとってはなおさら、混乱する部分だと思います。(ここで述べる認知行動療法については、不安障害の認知行動療法を念頭に置いています)
まず、心の病理をどう理解するかという点でやや異なる見方をしています。
森田療法は神経症を「とらわれ」として理解し、不安を特別なものと解釈してそれを取り除こうとする姿勢から生じるとしています。カウンセリングでは、不安を排除しようとするのではなく、感情のひとつとして受け止めるようにしていきます。不安の背後にはより良く生きたいという欲望があります。症状に対する固着から脱焦点化し、行動を広げ、望む生き方を模索していくようにします。
一方、認知行動療法は、不安は誤った学習や認知の歪みの結果であり、回避行動がこれを強化すると考えます。そういった不安のセルフコントロールをめざしていきます。新たな学習を通して、主体的に不安への対処法を習得していきます。
以上の基本的理解に基づいた具体的な援助の方法も少し違いが見られます。
森田療法では、不安は生の欲望の裏返しとして、恐怖突入ということを行います。現実の生活に必要な行動、もしくは望む生活に近づくための行動が対象となります。これを自然な生活の流れの中で行います。症状だけでなく、生活への関わり方全般を見て、欲求を探り当てていきます。
認知行動療法では、症状に注目していき、具体的に把握するようにします。そして不安階層表というものを作成し、段階的に恐怖刺激への曝露を行います。生活を阻害している自覚的な症状を曝露の対象としていきます。
なかなか難しく感じると思いますが、カウンセリングでは個別の事情に即してわかりやすくご説明いたします。森田療法に関しては、以前の私のブログ記事でも所々で触れていますので、興味のある方はお読みいただけると幸いです。

アオスジアゲハ(利根運河)
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