精神科の診察時間(2)


前回の(1)では、精神科・心療内科の医師の診察時間の短さに失望する人のお話をしました。一方、それとは逆に短時間の診察をむしろ好都合だと考える患者さんもいます。それはどういう人だと思いますか?


それはたとえば、人に内面を開示するようなコミュニケーションを避けるタイプの人かもしれませんし、からだの感覚や感情を言葉にすることが苦手なタイプの人かもしれません。そういう人たちは診察時間の短さに不満を漏らすどころか、医師との深いかかわりを求めず、「いつものお薬さえもらえればいい」と思っているようなふしがあります。人に援助を求めることをほとんどしてこなかった(できなかった)生活史を持っていたり、人になかなか心を開かず、人間に対する信頼感が乏しかったりする場合もあります。


そのような人たちは、人に頼らずに何でも自分で解決する「手のかからない人」と思われていることが多く、医師との診察でもありきたりな会話のやりとりしかせず、ましてやカウンセリングでじっくりと情緒的なコミュニケーションをすることには気が進まないことが多いかもしれません。援助する側も油断して、外からは見えにくいその人の深い悩みを見過ごしやすいところがあります。


お薬だけで解決すればそれはそれで良いと思いますが、実は精神的・身体的な問題の背後には人間関係の悩みやうまく処理しきれない感情の問題が潜んでいることがあるものなのです。真の解決にはそれらと向き合うことが必要な場合があります。


カウンセリングと同様、短時間の診察もまた治療的なコミュニケーションの意味合いがあり、医師に対する信頼感もお薬の効き目に影響を及ぼすと言われることもあります。短い時間でも医師に自分のことを話すことは意味があるのです。話すことに意味を感じられたらカウンセリングを試してみるのも良いでしょう。


今までカウンセラーの援助を受けてこなかった人にとって、他人に依存することが新しい体験となる可能性があります。人に依存することをすべて良くないことのように感じる人もいるかもしれませんが、人生では適度に人に依存する能力は必須のものなのです。強すぎる依存性が課題になる人がいる一方、依存しなさすぎることが課題の人もいるのです。弱った時、つらい時は自分一人で抱え込まずに人に頼っても良いということです。


うまく話せないからカウンセラーに申し訳ないなどと思う必要は全くありません。カウンセラーは話し下手な人の対応にも慣れていて、話しやすいように対応してくれます。そういう人にこそカウンセリングを受けてもらいたいと思うことがあります。


                              ( 葛西臨海公園 )