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#16加害者を許すということ1

 みなさんこんにちは。しまうまカウンセリングでカウンセラーをしている望月です。先日TV番組を見ていて、とてももやもやした思いが出てきて、今日はこんなタイトルでカウンセラーとしての私の思いを書かせていただきます。

 長く市役所などで女性相談をしていた私の経歴のためか、私はこれまでDVや性暴力や虐待の被害者の方と多く関わらせて頂いてきました。現在でも被害者の様々な心理療法で回復のお手伝いをしています。

その中で時々私の前に現れてくる大きなテーマが「加害者を許す」ということです。私がトラウマを学ばせていただいた先生の中には「加害者支援をしない」という立場の先生たちもいらっしゃいます。私もクリニックで働き始めた頃はその立場でカウンセリングをしてきました。でも、いざクリニックでの仕事をしてみると、お医者さんからのオーダーで時には加害者の方とカウンセリングをすることもありますし、加害者だと思ってお会いしたクライエントさんが実はDVの被害者だったということもありました。そして加害者の方の中には以前被害者だった方もいらっしゃいます。ですので、私は加害者の方とはお会いしませんという立場では決してありませんが、私が大切にしている私の立場もあります。それは被害を受けた方に対して「加害者を許しましょう」と言う立場には立たないということです。

トラウマ療法をしていて、だんだんトラウマの圧力が弱まってくるとクライエントさんの物の見方いわゆる認知に対するアプローチを行っていきます。その中では時折、クライエントさんのイメージの中で「加害者がものすごいパワーを持った化け物」であり続けるため、その化け物を一人の人間として見ていただくために様々な質問をすることがあります。

以前虐待を受けた過去を持つクライエントさんとこのような(もちろんこのままのやり取りではありません)やり取りがありました。「子供にそんなことをしたあなたのお母さんってどんな存在?あなたが今もおびえ続けなきゃいけないほど大きくて物凄い力を持つ人?」クライエントさんは悩んだ末にこう答えてくれました。「かわいそうな人」そして彼女は「先生かわいそうな人だから私は母を許さなきゃならないのでしょうか?」と聞いてきました。勿論それは違います。かわいそうな人だからと言って子供に暴力をふるっていいわけでは決してないのです。そのことを彼女に伝えながら私は自分の言葉や言い回しを反省しました。そしてもう一方で、多くの被害者の方がどこかで日々許さなきゃいけないという自分自身の葛藤と戦っているのかもしれないと考えていました。



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