ある日、私はバードウォッチングをしに野外へ出かけました。バードウォッチングの楽しみの一つは、まだ出会ったことのないような珍しい鳥に出会うことです。
先まで続く小道の両脇は草むらになっていて所々低木も見かける場所でした。私はカメラを持ち、そこを歩きながら野鳥がどこかにいないかどうか探していました。
すると数メートル先の低木のあたりから、突然一羽の野鳥が飛び立ち、すごいスピードで遠くへ消えていきました。一瞬のことでしたが、その鳥の色から考えると珍しい野鳥だったかもしれないと思いました。私はチャンスを逃したことを残念に思いました。もっとよく周りを注意深く見ておけば良かったと思いました。「逃した魚は大きい」と言われますが、まさにそんな気持ちでした。
そう思ってさらに先に歩いて行こうと思った途端、なんともう一羽同じような鳥が近い場所から飛び立っていきました。そこにいた野鳥は一羽だけではなかったのです!
私はそのような体験を重ねるうちに、うっかり一羽の鳥を逃がしてしまっても、すぐにはがっかりしないことを学びました。ある場所に一羽野鳥がいたら、そのすぐ近くにもう一羽いる可能性があるのです。いや、もしかしたら三羽以上いる可能性だってあるわけです。なので、一羽を飛ばしてしまった時こそ、そのあたりを注意深く観察することが大事なのです。
英語のことわざにOpportunity seldom knocks twice.(好機はめったに2度は訪れない)という言葉があります。それも一面の真実を表しているとは思いますが、野鳥観察のこんな局面ではそうとも限らないようです。チャンスは続くことがあります。物事は簡単にあきらめないことが大切です。
( ジョウビタキ )
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