頭の中の「ことば」に振り回されすぎないために
- しまうまさん
- 14 分前
- 読了時間: 2分
――言語的価値低減法というアプローチ
「台所のガスを消し忘れていたらどうしよう」「この配置じゃ気持ち悪い」――そんな考えが頭から離れず、何度も確認したり、並べ直したりしてしまうことはありませんか?
こうした状態は、強迫性障害の一つの特徴かもしれません。筆者は、これらの悩みにアプローチする新しい方法、「言語的価値低減法(Verbal Value Devaluation)」を用いた支援を行っています。
私たちは、頭に浮かぶ「ことば」や「考え」に、無意識のうちに強い意味を見出し、それに従って行動してしまう傾向があります。たとえば「不潔=危険」という思い込みがあると、手洗いや掃除がやめられなくなり、日常生活がとても窮屈になってしまいます。
言語的価値低減法は、こうした「ことば」の力そのものを弱めていくことを目的としています。特徴的なのは、考えを打ち消したり戦ったりするのではなく、「これはただの頭の中の言葉」として受けとめ、少し距離を置く練習をしていく点です。
たとえば、「ガスを消し忘れたかも」と思ったときに、「…と思っただけ」と付け加えてみる。すると、その考えが現実であるかのような感覚から少し離れ、考えに巻き込まれずに済むようになります。現実的な行動を選びやすくなり、自分の手に行動の選択権が戻ってくるのです。
考えは、自分の意思とは関係なく自動的に浮かぶものです。でも、そのすべてに反応したり従ったりする必要はありません。「意味のある考え」と「ただの頭の中の言葉」を見分ける力がついてくると、日常が少しずつ楽になっていきます。
強迫性障害でお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献
平田祐也, 岡嶋美代「加害恐怖を呈する30代女性に対する言語的価値低減法を実施した症例報告 ~eRPの工夫~」日本認知・行動療法学会大会発表論文集49:447-448, 2023.
岡嶋美代【教育講演3】「言語的価値低減法のすすめ-反芻思考の妨害とドロップアウトを防ぐエクスポージャー療法の工夫-」日本認知・行動療法学会発表論文集50:82-83,2024.フォームの終わり

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