「おおらか」とは、ゆったりしていて、慌てたり怒ったりしない様子を表す言葉です。英語で言うと generous や easy-going で表せるようです。気持ちに余裕があって、自分に対しても周りの人に対しても優しくなれる、そんな状態を示していると思います。
「おおらか」になれない状況とは、どんな場合でしょうか? たとえば、仕事が多忙であるとか、人間関係の困りごとがあるとか、将来に心配があるとか、そういう場合ですと、イライラして心が落ち着かなくなることがありますね。カウンセリングの場面で言えば、不安障害があったり、トラウマティックな体験をしたり、アルコール摂取などで衝動的になっていたりすると、気持ちの安定が揺らぎがちになることがあります。
ポジティブ心理学や認知行動療法などで、一般の人向けに「コップに半分の水が入っているとき、どう捉えるか」というたとえ話が出てくることがあります。「半分も入っている」と理解するのが楽観主義、「半分しか入っていない」と理解するのが悲観主義と言われます。
似たような話で、たとえば、テストの結果が50点だった人に対して、「おおらか」でない周囲の人のなかには、「なんだ50点か」と嗤う人がいるかもしれません。でも、よく聴いていくと平均点が30点だったテストで50点だったのかもしれませんし、その人の以前の得点は40点だったのかもしれません。あるいは、その人は何か心配事を持つなど、不利な条件を抱えながら試験に臨んだのかもしれません。
つまり、「おおらか」でないと、全体の状況をつかむ前に、断片的な情報のみに基づいてネガティブな判断を他者に伝えてしまうおそれがあります。人間ですのでいつも「おおらか」でいることは難しいですが、たとえば熱いお茶を飲んで深呼吸して、「おおらか」になれると、人の状況全体に目を配り、より温かみのある判断をくだすことができます。
ムクドリ
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